ホーム›記事一覧›成年後見

おひとりさまの老後の備え|見守り契約・任意後見・死後事務委任の使い分け

頼れる家族が近くにいない方の備えは、一つの契約では足りません。「元気なうち」「判断能力が低下した後」「亡くなった後」の3つの時期に分けて、必要な契約を整理しました。

公開日:2026年10月11日 | 執筆:行政書士 小田中 勇治

「入院したら、誰が手続きをしてくれるのか」「認知症になったら、お金の管理はどうなるのか」「亡くなった後、部屋の片付けは誰がするのか」。ひとりで暮らしている方や、お子さんが遠方に住んでいる方が、抱えやすい心配です。

これらは、それぞれ別の契約で備えます。時期ごとに、どの契約が何を受け持つかを見ていきます。

時期ごとの契約の一覧

時期契約受け持つこと
元気なうち見守り契約定期的な連絡・訪問で、様子の変化を早くつかみます
体が不自由になった時財産管理等委任契約支払いや役所・金融機関の手続きを、代わりに行います
判断能力が低下した後任意後見契約財産の管理と、介護・施設・医療の契約を、本人に代わって行います
亡くなった後死後事務委任契約葬儀・納骨、役所への届出、契約の解約、部屋の片付けを行います
亡くなった後遺言書財産を、誰に渡すかを決めます

すべてを一度に結ぶ必要はありません。心配の大きいものから、必要なものだけを選べます。

見守り契約

月に1回の電話や、数か月に1回の訪問など、決めた頻度で連絡を取り合う契約です。

任意後見契約は、結んでから実際に始まるまで、何年も間が空くことがあります。その間に判断能力が低下しても、気づく人がいなければ、任意後見は始まりません。見守り契約は、その「気づく役」を決めておくためのものです。

当事務所の見守り契約は、電話のみの場合は月額5,000円(税抜)から、訪問を含む場合は月額10,000円(税抜)からです。

財産管理等委任契約

判断能力はしっかりしているが、足腰が弱って銀行や役所に行けない。そうした場合に、支払いや手続きを任せる契約です。任意後見と違い、判断能力が低下する前から使えます。

任せる範囲は、契約で決めます。「入院費の支払いと、年金の手続きだけ」というように、絞ることもできます。

任意後見契約

判断能力が低下した後に、財産の管理や、介護・施設の契約を任せる人を、あらかじめ自分で決めておく契約です。公証役場で、公正証書によって結びます。

判断能力が低下した後、家庭裁判所が任意後見監督人を選んだ時に、契約の効力が生じます。任意後見監督人が、任意後見人の仕事を確認します。

契約を結んでいない場合は、判断能力が低下した後に、法定後見を利用することになります。この場合、後見人は家庭裁判所が選びます。

死後事務委任契約

任意後見は、ご本人が亡くなった時点で終わります。亡くなった後のことは、任意後見人の仕事には含まれません。そこで、次のようなことを、死後事務委任契約で頼んでおきます。

  • 親族や知人への連絡
  • 葬儀、火葬、納骨
  • 役所への届出、年金・健康保険の手続き
  • 病院・施設の費用の精算
  • 電気・ガス・水道・電話などの解約
  • 住まいの明渡しと、家財の片付け

葬儀の形式や、納骨先の希望も、契約の中で決めておけます。

遺言書

死後事務委任契約で頼めるのは、手続きと片付けです。残った財産を誰に渡すかは、遺言書で決めます。

相続人がいない方が遺言書を作らなかった場合、財産は、最終的に国のものになります。お世話になった方や、応援したい団体に渡したい場合は、遺言書が必要です。

相続人がきょうだいや、おい・めいの場合も、遺言書があると、残された方の手続きの負担が大きく減ります。遺言の内容を実行する人(遺言執行者)も、あわせて決めておきます。

知っておきたい3つの注意点

1. どの契約も、判断能力があるうちにしか結べません

認知症が進んだ後では、契約も遺言も作れなくなります。「まだ早い」と感じる時期が、準備に適した時期です。

2. 医療行為への同意は、契約では任せられません

手術や延命治療に同意する権限は、任意後見人にも、委任を受けた人にもありません。治療についての希望は、書面に残して、かかりつけ医や身近な方に伝えておくことが大切です。

3. 身元保証人とは別のものです

入院や施設への入所の際に求められる「身元保証人」は、費用の支払いを保証する立場です。任意後見人や、死後事務を引き受ける人は、身元保証人とは別の立場です。入院・入所先が何を求めているのかを、個別に確かめる必要があります。

どれから始めるか

  • 亡くなった後の財産の行き先が気になる方:遺言書から。
  • 認知症になった後のお金の管理が心配な方:任意後見契約と見守り契約から。
  • 葬儀や片付けで、周りに迷惑をかけたくない方:死後事務委任契約と遺言書から。
  • 何から考えればよいか分からない方:まず、財産と、頼りたい人・連絡してほしい人を、紙に書き出すところから。

行政書士に頼めること

当事務所では、見守り契約、財産管理等委任契約、任意後見契約、死後事務委任契約、遺言書の文案作成と、公証役場との調整をお受けしています。任意後見契約書の作成は、100,000円(税抜)からです。財産管理等委任契約と死後事務委任契約は、内容に応じてお見積りします。

任意後見監督人の選任申立書など、家庭裁判所に提出する書類の作成は、司法書士・弁護士の業務です。その場合は、どの専門家に相談すべきかをご案内します。

この記事は、2026年10月11日時点の制度にもとづく一般的な説明です。個別の事情によって、必要な手続きや結論が変わることがあります。

行政書士 小田中 勇治

トラストコンサルティング行政書士事務所(神奈川県横須賀市)。登録番号 第22090912号。ファイナンシャル・プランニング技能士2級。成年後見・相続・遺言を専門にしています。

ご自身の場合はどうなるか、初回30分無料でご相談いただけます

「何から始めればいいか分からない」という段階で大丈夫です。LINE・電話・メールで、お気軽にご連絡ください。

LINEで相談 電話する