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身寄りがない方の入院、誰が支えるのか―2026年の法改正と当事務所ができること

2026年6月、この問題に正面から取り組む2つの法律が国会で成立しました。ただし、新しい公的支援が実際に始まるのは少し先です。制度の最新の動きと、横須賀の行政書士事務所として当事務所が「今」お手伝いできることを、できないことも含めてお伝えします。

公開日:2026年10月12日 | 執筆:行政書士 小田中 勇治

「入院の手続きで身元保証人を求められたが、頼める人がいない」。おひとりさまの方や、ご親族と疎遠な方から、こうしたご相談が増えています。

2026年、国の制度が大きく動きました

身寄りのない方の入院や老後を支える法律が、2026年6月に2つ成立しました。

1. 社会福祉法の改正―入院手続きの支援が「福祉の事業」に

頼れる身寄りがいない高齢者等に「日常生活の支援」「入院・入所の手続支援」「死後事務の支援」を行う事業が、新たに社会福祉事業として位置づけられました(2026年6月19日成立)。緊急連絡先の提供や入院費の支払代行などが想定されており、資力の乏しい方は無料または低額で利用できる仕組みです。

ただし、この事業の開始は公布から2年以内とされ、利用料や運営ルールを定めるガイドラインは国が作成している最中です。10月9日には厚生労働省が市町村職員向けの説明会を開いています。

2. 民法の改正―成年後見が「必要な間だけ」使える制度に

民法等の一部を改正する法律が、6月17日に成立し、24日に公布されました。これまでの「後見・保佐・補助」の3類型は「補助」に一本化され、必要がなくなれば利用を終えられるようになります。成年後見制度に関する部分の施行は、公布から2年6か月以内です。

国が本格的に動き出したのは心強いことです。けれども、どちらも実際に使えるようになるのはこれからで、入院は制度の開始を待ってくれません。

身元保証人がいないと、入院できないのでしょうか

身元保証人がいないことだけを理由に、入院を断ることは認められていません。厚生労働省は2018年、そのような取扱いが不適当である旨を全国に通知しています。

それでも現場では不安が残ります。東京都医療ソーシャルワーカー協会の調査では、身元保証人を用意できない場合に「断っている(断られた)」という回答が一定数ありました。

病院が身元保証人に求めているのは、「保証」という言葉より具体的な、次の6つの役割だとされています。

  1. 緊急の連絡先になること
  2. 入院計画書の説明を受けること
  3. 入院中に必要な物品を準備すること
  4. 入院費などを支払うこと
  5. 退院の支援をすること
  6. 亡くなったときの、ご遺体・遺品の引き取りや葬儀など

この6つを一つずつ手当てできれば、「保証人」という名前の人がいなくても、入院の手続きは進められます。

当事務所ができること―6つの役割ごとに

当事務所は、お元気なうちに結んでいただく4つの契約で、6つの役割に備えます。契約は公正証書で作成し、何をどこまでお引き受けするかを書面で明確にします。

病院が求める役割当事務所の対応根拠となる契約
1. 緊急の連絡先事務所を緊急連絡先として病院に届け出ます。連絡を受けて、ご本人の意向の確認や関係者への連絡を行います見守り契約・生前事務委任契約
2. 入院計画書入院手続きに同行し、書類の受け取りや説明の場への同席をします。ご本人の希望を事前に書面にまとめ、病院へ伝えます生前事務委任契約
3. 必要な物品の準備日用品や衣類の手配、レンタル品の契約手続きをします。留守中のご自宅の郵便物や公共料金も管理します生前事務委任契約
4. 入院費の支払いご本人の預貯金から入院費を支払う手続きを代行し、請求書と領収書を管理してご報告します生前事務委任契約(判断能力が低下した後は任意後見契約)
5. 退院の支援病院の相談員やケアマネジャー、地域包括支援センターと連携し、退院先の調整や施設入所の契約手続きを行います生前事務委任契約・任意後見契約
6. 亡くなったときご遺体の引き取り、葬儀・火葬・納骨の手配、病室の片付け、入院費の精算、役所への届出を行います死後事務委任契約

入院前から亡くなった後まで、同じ担当者が一貫して関わります。途中で窓口が変わらないことが、ご本人にも病院にも安心につながると考えています。

できないことも、正直にお伝えします

当事務所にはお引き受けできないことが3つあります。契約の前に必ずご説明しています。

  • 手術や延命治療への「同意」:医療行為への同意はご本人だけの権利で、第三者が代わりに同意することはできません。成年後見人でも同じです。その代わり、お元気なうちに治療や最期の過ごし方のご希望を書面に残し、医療チームに確実に伝える役割を担います。
  • 夜間・深夜の駆けつけ:行政書士1名の事務所のため、24時間の出動には対応していません。夜間の急変時は病院の判断で必要な処置が行われ、当事務所は翌朝以降に手続き面を引き継ぎます。
  • 入院費の連帯保証と、預託金のお預かり:当事務所は入院費の連帯保証人にはならず、預託金もお預かりしません。ご本人の財産から確実にお支払いできる仕組みを整えることで、病院側の不安に応えます。

新しい制度を待たずに、今備える理由

公的な事業の開始を待たずに、今から備えておくことをおすすめします。理由は3つあります。

  • 新しい公的事業は開始時期も利用料もまだ決まっておらず、お住まいの地域で誰が担うかもこれからです。
  • 契約は、判断能力がしっかりしているうちにしか結べません。入院は突然やってくるため、倒れてからでは間に合わないことがあります。
  • 公的事業が始まれば、そちらが合う方もいらっしゃいます。どちらが合うかも含めて、早めに比べておくことができます。

費用の目安は次のとおりです(税抜)。

契約契約時の報酬契約後にかかる費用
見守り契約生前事務委任契約に含む月額5,000円〜(電話のみ)/月額10,000円〜(訪問あり)
生前事務委任契約50,000円―
任意後見契約100,000円後見開始後は月30,000円〜(財産状況により増減)。見守りの月額は終了します
死後事務委任契約100,000円執行時に基本300,000円+内容に応じた加算

公証役場の手数料や葬儀費用などの実費は別途かかります。ご相談は初回30分無料です。

身寄りがなくても、入院をあきらめる必要はありません。「自分の場合は何から始めればいいのか」という段階でかまいません。横須賀エリアの方は、どうぞお気軽にご相談ください。

この記事は、2026年10月12日時点で確認できた制度の内容にもとづく一般的な説明です。新しい公的事業の開始時期・運用の詳細は、今後変更される可能性があります。個別の事情によって、必要な手続きや結論が変わることがあります。

行政書士 小田中 勇治

トラストコンサルティング行政書士事務所(神奈川県横須賀市)。登録番号 第22090912号。ファイナンシャル・プランニング技能士2級。成年後見・相続・遺言を専門にしています。

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